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協働事業②-1 防災街歩き (新田宿・四ッ谷編)

防災研修協働事業の3回目となります。前回の「防災街歩き」は折からの「熱中症アラート」が発令されて、地図を読む作業についてはできましたが、その地図を使って実際に町の中を歩くという活動をすることができませんでした。(残念)

今回は、9月の終わりということで、少しは快適に歩くことができるかなと思っていましたが、今年は異常です。30度近くの暑さでしたが、日差しには少し秋の気配があり、参加者全員で歩くことができました。

    スマホを使ったハザードマップの見方
    スマホを使ったハザードマップの見方

先ず、はじめに座間市の危機管理課の職員による座間市のハザードマップについて説明がありました。

座間市では紙ベースのハザードマップを全戸に配布していますが、やはり配布後に引っ越しをされてきた方々への配布府が十分でないこともあり、ホームページからアクセスできるようになっています。ハザードとリスクの関係は年々変化しています。その都度、印刷をして配布していたら莫大な費用が掛かってしまします。最近では危機管理対策もDX化ということが言われています。学校ではタブレットも配備されています。そのようなデジタル化に対応するように、現在では、市のホームページや座間市LINEなどからアクセスできるようになっています。

しかし、参加された方々は、ほぼ全員がスマートホンをもっていましたが、日頃から積極的にインターネットに接続して利用するという方は少ないようで、ほぼLINEのやり取り、メールのやり取り、YouTubeやInstagramを見るという程度のようです。

職員の方が説明していても、サクサクと使える方がいる一方、インターネットという言葉で何となく腰が引かれている方もおられました。スマホでホームページを見ることができることを知ったという方もいましたが、音声検索でホームページにアクセスしている方もいました。しかし、ハザードマップは地図情報ですので狭い画面では見にくいこともありますが、何とかこの地域のハザードについては理解できたと思いますが、もう少し日常からスマートフォンの便利なことを知る活用する努力も必要だと思いました。


 地図の書き込みが始まりました。この地区は今から100年前の関東大震災の時には、村の本通りでした。 当時の座間村の人口は約5千500人程度でした。そのほとんどが座間村の中心を走る八王子街道に沿って屋敷や蔵があったようです。その中で、小田原付近を震源とする地震でした。液状化の現象が起きて、四ツ谷、新田宿、座間、中河原付近では、家屋の約半分が何らなの被害を受けたことが、座間村の古文書に記されています。

残念ながら、このような記録は伝えられることなく、今ではその事実を伝え聞いている方々も高齢になっています。(座間市は書籍にして纏めています)

 ここ数年、農地の宅地転用が進んで多くの住宅が建っていますが、自分の住んでいる地面の歴史を知って、備えをしっかりしておくことは必要だと思います。

 さらに、相模川、鳩川、左岸水路とそれから分岐している農業用水路が広がっています。2019年の城山ダムの緊急放流の時には、市政を敷いてから初めての「避難勧告」(当時)が発令されて、約1000名の方々が避難をされました。ハザードマップでは、鳩川、相模川などの越水が起きると30cmから3mの浸水が起きると想定されています。

しかし、これは気象情報の精度が高まってきていることから、情報を的確につかみ、行政からの避難情報と家族の状況を判断して避難行動を起こせば被害を最小限に抑えることはできます。このことを話しました。

 地図の情報を書き込みながら、参加者の中から、昔はうちのそばでは「シジミ」がたくさん捕れたよとか、水路に落ちた話などをしていました。

 この地区は南に向かって低くなってゆきます。海老名市と反対の方向へ避難することが大事です。地元の人ではないとわからない話が出てきて私自身もためになりました。

 昼食後は、四ツ谷コミセン付近で鳩川や、左岸水路(農業用水路)が大雨であふれ出て避難指示が出たことを想定して座間市公民館に向かって避難をすることを想定して、参加者で町歩きを開始しました。

 気候は、まだ少し汗ばむ暑さでしたが、車に注意しながら歩きます。危機管理課の職員の方が前後を固めて歩きます。道路といっても農道が住宅が建ったために簡易舗装道路になったような地域ですので慎重に歩みを勧めます。

 私も、最近はこの地区にきませんが、退職後しばらく働いていた時には車で走ったことがあります。

当時と比較しても古い家はなくなり、新しい家が建っていました。しかし、広い農家さんの庭を囲む塀は、明らかに古い構造のものが見受けられました。この塀が道路側に倒れると車は走れなくなることが予想されます。(写真は撮らないように指示)旧本通りの傍らには、約1メートル幅の水路があります。

今は、稲刈りに備えて水門を閉めているために水は流れていませんが、空の水路に降りてみると深さは70センチか80センチ程度はあります。もし田植え時期の5月から6月あたりに大雨降ると水路から水が道路に流れ出たら水路と道路の仕切りに柵(ガードレール)がないので区分が分からなくなって落ちてしまう危険性があることが見えてきました。(過去には落ちた話もあるようです)

 県道に出ると、向かい側にお寺があります。お寺の柵に沿って裏側に回り込むと数年前までは、相模線の線路の向こうまで見渡せたのに・・・なんと住宅がたくさん建っていました。

農業用水路は、ところ所暗渠になっていて、突然、流れとして表に出ています。住宅が増えて来て事故防止のために金網が張られていたりして夜歩くとなると危険な感じもしました。

 時間の関係もあるので、公民館へ行くために県道を登り最高点(約30メートル)地点のこ線橋の上で四ツ谷一帯の景色を見ながら、万一、水が出ると小さな高低差が生まれるので、一概には安全とは言えない区域であるという感じを見てもらいました。

 相模線の跨線橋の下を流れる鳩川は約16キロの短い河川ですが一級河川です。源流は相模原市大島団地あたりで、相模原市、座間市、海老名市を経て相模川に合流しています。

 相模川は、2019年秋に 城山ダムの緊急放流という予想だにしなかった事態が起きて、もし溢れたらという意識が高まってきました。川からさほど離れていない場所に特別養護老人ホームが2つあります。また、昔からお住まいの方々も多くあるほか、会社などもあります。

 その右側を流れている相模川は、源流は山中湖に発し相模湾まで約109キロの長さを持つ一級河川である。

上流部は桂川、中流域を相模川、下流域は馬入川と名を変え太平洋へ流れ込んでいます。流域の途中には、相模湖、津久井湖(城山ダム)という2つのダムをもっています。座間市は丁度中流域のやや下にあたります。

 相模川は古い時代には、暴れ川としての記録もあり、地図を見ると相模原市磯部あたりから座間市にかけては、現在の新堤防の外側に旧堤防と見受けられる堤の地形を見ることができます。相模線の原当麻駅から座間の入谷駅付近にかけての線路は自然堤防の上に沿う形で敷設されているような感じがします。昭和橋あたりから自然にできた川幅は広くなりますが、明らかに人工的に作られた堤防で流域の幅を狭くしています。もし、新堤防が越水を起こすと、右岸の厚木市猿ヶ島、左岸の相模原市磯部、新戸から座間市新田宿、四ツ谷、海老名市上郷、今泉の流域の河原の部分は氾濫調整域になりうる感じが見て取れます。これは、あくまでも筆者の個人的な見方ですが、国はダムによる洪水対策から、流域の河原や、その周辺の田んぼを使って洪水調整をする政策を考えているようです。川と共に生きてきた私たちは常に「流れ」を見つめて、近年の地球規模の気候変動がもたらす影響を考えて行かなければならないと感じます。

 市民が生活する中では、危険と隣り合わせの地域はたくさんあります。その危険度合い《ハザード》を地図として表したものがあります。ハザードは一様ではなく、津波のハザード、土砂崩れのハザード、火山噴火のハザード、洪水のハザード、(内水氾濫を含む)、交通ハザード、火災延焼ハザードなど様々な物があります。

 日本では、市民は自分の意志で、不法でない限り居住する場所を選択することができます。これは、「自己責任」によってリスクを判断しなさいということなのです。従って、不動産の売買にあたっても不動産屋さんは販売する物件について、売買に伴う項目について詳細に説明をする「重要事項説明」が義務付けられています。その中に地理的なハザードの項目も入っています。

ところが、売買にあたってはどうしても金銭の受け渡しに関する一生に一度の買い物という気持ちから、物件そのものの権利に伴う部分に気が行ってしまい、家の物件の権利関係のところで終わっているようです。一度住んだら簡単には引っ越すことができません。その土地の持つ地理的な問題までには関心が行かないようです。この町歩きから見えてきたことを良く学び日々の生活の安全について考え、危険だなと思ったら対策をとっていただければと思います。

DIGの中で、昔はこのあたりの農家の軒先には「舟」がつるされていたよという話がありました。つまり、生活の知恵からの備えだったと思います。