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令和5年度協働事業➀が始まりました

 令和5年度(2023年)座間市とざま災害ボランティアネットワークの防災啓発研修事業➀が行われました。

この研修・体験講座はテーマを変えながら2023年度を通じてほぼ毎月開講されます。座間市からのLINE情報で通知されます。

 

 第1回の講座は、「災害の3:3:3と72を考えていますか?」というテーマで、災害の備えと災害が起きてしまった初動の対応について災害イメージを本気で考えることを目的とした講座でした。

 具体的には参加者一人一人が災害をイメージしてその思いを「付箋」に書き出し、ランダムに読み上げてボードに張り出したあと、参加者同士が書き出された内容について質問しあい「曖昧なイメージ」についてより具体的な姿に修正します。

書かれた方は、何気ないのでしょうが「食べ物を確保する」と書く方が多く見られます。この「確保」というイメージはどのようなことなのでしょうか?皆さんはどうですか?

「確保」というと、災害が起きて手元に持ち合わせがないので、コンビニなどに行って買ってくるのでしょうか?

それとも普段から万一に備えて「備蓄していた食べ物を備蓄していた場所から手元に持ってきておくのでしょうか?」 この両者の内容は「確保」という言葉で表現するには大きな差異があるはずです。

 発災直後、街に出てコンビニなどに行くことはできないかもしれません。

 「家族の安否を確認する」という表現でまとめられる方もおられます。ワークショップの前に、被害想定シートが配布されています。初めに内容について説明がありインフラはすべて使用不能という与件が与えられています。

このことは、電気、水、ガス、通信、交通網などの社会的インフラが機能しなくなっているのです。その中でどうやって安否確認ができるのでしょうか?

 

 理屈っぽく思われるでしょうが、災害は非情です。社会的機能を一瞬のうちにそのすべてを私たちから奪い去ってしまうのです。

このように、災害という条件の下で私たちはどれだけ「災害をイメージ」できるかということが大事なのです。

「想像が曖昧だと行動もあいまい」になるのです。このことが、過去においても災害の被害を大きくしてきたのです。

 

 このように、話し合いを通じて書き出された「付箋」の内容を吟味したうえで、似たような「付箋」を集めて「島」を作ります。「身を守る」という行動を書き出した島、避難路を確保すると書き出した島、火事が出ていないか周囲を見回り消火作業をすると書き出した付箋などがあります。今回は発災から24時間の中での行動をイメージしてもらいますが、別のシリーズで行っていますSLの講座では3日間(72時間)について書き出してもらいます。

 

 出来上がった「島」を別の大判の整理表に改めて並び直す作業が始まります。

個々の行動を考えた「島」を災害の中でも流れ続ける「時間」を軸に個々の行動の島がどの位置にあるのかを考えてもらうのです。これを、「災害時のタイムライン」と呼びます。どっちが先なのか、自分のことを優先するのか、周りのことを優先するのか・・・グループによって大きく変わってきます。

 

 今回は、戸建て住宅に住まわれている方のグループと、マンションなどに住まわれているグループに分かれて行いました。このように、住環境を一定の条件の下で明確に分けて行わないと「話がかみ合わなく」なってきます。

約60分間参加者の方には熱心に討議して整理していただきました。

そのプロセスの中で、今日初めて会った方同士が、旧知の知り合いのように変化してゆくのです。その中から我々の地域ではこうしている、うちはこのようにと力まている、うちはなかなかまとまらなくって・・・という踏み込んだ話が出てきていました。このことが「地域繋がりの元」となると思っています。

 

 休憩後、ざま災害ボランティアネットワークが過去からの被災地での活動の中から得た思いをもとに、お話をさせて頂き、整理をさせて頂きました。

地域は、様々な矛盾が浮き上がってきています。その現実を「行政」は市民に対して話すことができにくい状況があります。かっては、行政も財政的に余裕が在り、人員も数多く抱えることもできました。しかし、今では少子・高齢化という大きな課題の下で、市政を進める重点施策も総花的に行うことはできなくなり、政策は当面の課題解決に目が向かざるを得なくなってきています。

この中で災害に対する施策はどうしても後の順位しか席が無いのが現実です。この中で私たちのような活動団体と協働事業を通じて伝える内容を分担して「市民の目線」での発信を経て行くことが肝要だと思うのです。

 

 今回の講座の中で感じたことで嬉しかったのは、約4年間我々と座間市が進めてきた「自助の浸透」が効果を見せてきたことです。どのチームも「避難所へ行く」という項目が全く見られなかったことです。

私たちは座間市と共に、在宅避難という官庁用語を「おうち避難の勧め」として愚直に伝え続けてきました。

火災で住まいを失ったり、倒壊してしまった場合には避難所は必要ですが、基本的には「おうちの安全確保」と「前例にとらわれない備蓄順位」の考え方が理解され始めているのだと思います。

 

 残念なことには、このような講座に拒否反応を持たれる方がおられることも事実です。しかし、座間市が11年間取り組んできた「シェイクアウト安全行動」訓練が真のレガシーになったことを確信出来ました。これこそはざま災害ボランティアネットワークの存在価値を高めるものだと思います。

「災害時に行政は我々に何をしてくれるのか?」という方がいます。しかし、ふるさと「座間」を守るために「市民は何を持って役に立つことができるのか?」ということを考えてください。

 

参加された方は、どうか知識を行動に移してください。

何人の受講生の方から、私たちの地区にも出前講座をお願いできないかとの問い合わせを頂くことができました。

ありがとうございます。

 実は、前日の28日、某団体の防災講演会を担当させていただき、同じシーンを行いました。参加者約50名でしたが残念ですが緊急地震速報の対応行動を取ったのは、座間市民だけでした。

 

 私たちは、いつも最後にテロップに示させていただきます。あなたの行動が変わらなければ、あなたの明日は今日と同じ状態です。しかし、明日の地震の発生確率は今日よりも高くなっていますよと・・・・