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2022年座間市総合防災訓練に参加しました。

 2022年度座間市総合防災訓練に参加しました。

座間市は、2020年2月に始まったコロナの中でも感染の防止を抑えて継続的に総合防災訓練を開催してきました。それは、感染症の蔓延の中で「大規模災害」が起きた時に、感染蔓延だから対応を取らないかとなるとそうは行かないと思います。どのような状況の下でも、可能な限りの活動を考えて対応してゆかなければならないと思いながらの活動でした。

 

 今年度の、災害救援ボランティアセンター開設訓練は会場内の座間小学校の体育館を使って実施しました。

現在、公益社団法人SL災害ボランティアネットワークは会員のシステム開発企業の協力を得て、災害救援ボランティアセンターのICT運用の可能性に取り組んでいます。

 

 これは、もともとこの企業の社長は私たちとともに被災地に入って支援ボランティア活動をしてきております。11年前の東日本の災害時には、発災から5日目にWFPの一員として石巻市に入って活動をする中で、アナログオンリーの運用で、災害救援ボランティアセンタースタッフの疲労が限界とみて現地で簡単な受付のシステム、報告システムを立ち上げて使い始めたことに原点がありました。その後、各地の被災地に入る中で様々な意見交換をしてきました。当時は防災科研のシステムが一つのインフラ的な役目をはたしていましたが、いかんせんオンラインというだけで、多くのVCが一斉にアクセスが行われるとスピードが遅くてだんだん利用するVCも少なくなってきてしまいました。

 

 2019年に千葉県を襲った「ブルーシート」が埋め尽くした台風災害で、公益社団法人SL災害ボランティアネットワーク千葉ネットは千葉の災害救援ボランティア支援センターの運営に関わりました。私たちも千葉ネットからの支援要請を受けて富津市の災害救援ボランティアセンターの開設・運営・スタッフ研修を行いながらボランティア派遣に取り組んできました。

 

 これらの活動の中から現実の課題を拾い集めてシステムの骨組みを組み立てて検証を行って来て「Joy Links」というアプリを開発しました。各地でVCの開設訓練がある都度テストランを重ねてきました。近々では、千葉県船橋市の訓練でテストランを行いだされてきた課題を洗い出し今回、座間市の防災訓練で県央地区社協、県社協、公益社団法人SL災害ボランティアネットワークのSL会員にも触ってもらう段階に到達しました。無論、過去全国でも災害があった市町村にもプレゼンを行い、研究者の方々の評価も受けてきました。

 

 まずは、災害救援ボランティアセンターに出かける前に、自宅からQRコードを用いて事前登録、予約登録が可能であることを目指しました。VCを通じて活動をされてきたボランティアの方には経験があると思いますが、せっかく勢い込んでVCに出かけたが、受付までに、マッチングまでに多くの時間を取られてしまって活動時間が短くなってしまった。技術系のボランティアの活用がうまくできないことから、復旧が遅くなる等の課題がありました。事前予約ができれば、双方ともに有効に活動資源をフル回転できるメリットがあります。等々先ずはすでに多くの方々がお持ちの「スマートフォン」を使ってフロントの課題を解消することを目指しました。

 さらに、VCが閉まってからの作業が見えない課題があります。それは、上位組織への報告作業、翌日以降の活動作業の下見、見積もり作業、依頼先の存在確認の作業です。これは翌日以降の活動の質や数を決めます。団体で入ってこられるボランティアの方の把握と作業割り当てなどはどうしてもアナログの分野が残ります。

 被災された方と向き合うということは究極のアナログの作業ですがこれが復旧作業の「へそ」だと思います。災害救援ボランティアセンター作業の根底にある意識は「一人一人に寄り添う」という気持ちだと思います。それは、被災された方は無論のこと支援者の方々への気持ちの寄り添いも考えなければならないと思います。そのためには、一見、冷たそうな「QRコード」の向こう側を充実して、人間でなければできない部分の時間を生み出すことにつながると思います。

 

 ガラケーはどうなるの?という質問はデモの時には必ず出ます。それは、排除するのではなく、従来の受付方式を残せばよいことだと思います。このシステムはそこもきちんとクリアしています。

 社協職員や、災害救援ボランティアセンタースタッフのボランティアさんが、過労で、燃え尽き症候群で倒れた例が報告されてきました。これでは、長期の運営は不可能です。少なくとも開設から1週間たった段階ではシフト勤務が可能になることも考えています。富津では、大木の倒壊が多く観られました。要請もありましたが、危険度から素人のボランティアに対しては割り当てをせずに経験豊富なボランティアさんに対してネームプレートの色を分けて別の席を用意して力量の申告を信じて割り振りを行いました。高所作業車、小型ダンプカー持ち込み作業者、チェンソー操作、屋根上作業のプロについては、その活動母体に活動範囲を指定してお願いしました。このような経験の中から生み出されたシステムです。

 

 もう一つの側面があります。モードを切り替えると「普段使いのアプリ」になることです。社協をはじめ地域の団体がイベントを行うときの受付のアプリとして使える側面もあります。現在、座間市では別のイベントの中で使っています。11月には座間青年会議所と公SL災害ボランティアネットワークかながわが手を組んで、座間市で大型の防災イベントが行われますが、このイベントでも約700名から900名の参加者の参加行動記録を収集するために使われます。

次に目指しているのは、避難所の運営につながるシステムも考案中です。個人情報を取り扱う部分ですので住民の方に安心して使っていただけるように配慮をしながらの設計を目指しています。

 

 当然、クラウド型のシステムですので、どこにいても電気、インターネットが生きていれば使えます。ちなみに座間市社協は私たちが保有しているLPG、ガソリン対応の発電機と燃料の備蓄をして活用することになっています。カセットボンベの備蓄もあります。何とか発災から3日目から、VCが開設され「助けて情報」を発信して活動ボランティアの方々においでいただける体制を作る努力をしています。

 私たちはボランティアです。だからこそ、行政に依存するのではなく、自立して屋外に災害救援ボランティアセンターを展開して何とか公助が立ち直るまで活動を続ける道を探しています。

さまざまな活動の取り組みを考えられている方々がおられることは可能な限り理解しながら「共助」のつながりができて、座間市が再び立ち上げれることを目指しています。

 

 残念ながら全国の自治体は、すでに平時の業務を担うのが精いっぱいです。その行政に「災害の時に我々に何をしてくれるのか」という「ないものねだり」をするのではなく、この座間市が故郷である私たち市民が、故郷に対して何を以て貢献できるかが「キーワード」だと思っています。

 活動の結果は社協で集計、分析中です。機会がありましたら報告をさせて頂きます。

ご参加してくださいました方々にお礼を申し上げます。