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市民防災減災啓発セミナーを開催しました

 新型コロナウイルス(以下COVID-19)の感染拡大に伴い、人が集まって何かをするということが出来ない状況が続いてきました。

ようやく、9月から徐々に、三密を避ける対策を講じたうえでのセンナ―などの開催ができるようになりました。

 令和2年度座間市とざま災害ボランティアネットワークの協働事業である「市民防災啓発講座」ができるようになりました。

 

 座間市は、昨年秋に台風によって相模川上流の城山ダムの緊急放流に伴って避難勧告が発令され、約1300人の方々が最寄りの学校や公民館へ避難をする市民の方の姿を見ました。これは「想定訓練」ではありませんでした。現実なことなのです。

 

 先日9月5日(土曜日)市内相模野小学校で「座間市総合防災訓練」が行われました。これも単なる「想定訓練」ではなく現下の「COVID-19」の下で災害が起きたらどうなるかを参加者、参加団体それぞれが「現実に合わせた」訓練を考えて行いました。

残念ですが、県央各市町は、今年度の総合防災訓練を延期又は中止にしています。確かに、感染症の拡大を防ぐためにはそれも選択肢の一つだと思います。せっかくのチャンスだと思います。

現在、COVID-19の感染防止の有効な手立ては各所で模索中です。座間市も、それぞれの部署で「模索」をしながらまさに災害の中での災害が起きたらどのような手立てで対応するかを学べたと思います。

 「訓練は実戦のごとく、実戦は訓練のごとく」と残した方は、ご存知の山本五十六元帥です。彼はまた、教え、伸ばすことについても素晴らしい言葉を残されています。

 

 私の担当したパートは、「複合災害」をテーマにして、災害があっても命を守ること、「いのち」のほかに持ち出すものはないこと。そのためには、常日頃からの、災害によって被る被害を少なくするための、備えについて重きを置いて話しを進めました。

 

 皆さんの多くは、災害が起きてしまった後のことに重きを置いて「どうしよう」と考えるのではないでしょうか?残念ながらそれでは家族の「いのち」を守ることはできないですね。

私が考えた話は、紙の上で覚えたことではなく、被災地に入って直接被災を受けた方々の「後悔の言葉」をお聴きして、自分なりに考え「これは必ず伝えなければならない言葉」だと思いセミナーや防災小話会などでお話をさせていただいてきました。今回も同じです。

 

 被災地に入って最初に聞く言葉は「まさか私が被災者になるなんで・・・」という言葉なのです。この「まさか云々」という言葉を座間市で災害が起きた時に聞かないで済むためにはどうしたらよいのかについて考えて伝えようと仲間にも話してきました。

 

 災害を考えるには、災害が来る前の「平常時」の生活がすべてなのです。TVで特集を見て、思い付きで備えてもその後のメンテナンスが出来なければ「やっていない」と同じなのです。力まないで、平常時の災害への備えを普段の生活の中に溶け込ませることがすべてだと思います。

 

 今は、ネット検索を使えば、情報は出てきます。しかし、それらを用いても、時々の情景は頭の中には浮かんでこないのです。決してその方法を否定しているのではありません。でも、被災者の方々が、泣きながら訴える姿を体験するとよりリアルな感じで伝えることが出来るのです。また外部の者としてそのことを(弱点)を含めて私自身の理解度も上がるのです。

 

 すでに、現下の状況はCOVID-19の感染の中での生活です。これは「災害」です。

その災害の中で、火災、地震、大規模交通事故、洪水などが起きれが「複合災害対応」にならざるを得ないのです。

この「複合型災害」という現象をどのように捉えて「対応するか」が必要なのです。そして、何よりも「知識」で学んだことを、自分自身の生活環境に合わせて、必要だ、不足しているとなったら直ちに「行動化」しなければ、明日は今日の続きなのです。

 

 最初にお願いしたのは、「気象災害(洪水等)」に対応する場面と、「地変災害」や「テロ等」に対する災害とな、初動から対応が変わることを理解してくださいということです。細かくここに書くことは控えます。詳しく知り來方は、どうかお仲間を集めて「ざま災害ボランティアネットワーク」へセミナーの企画を打診してください。

皆さん方が感じている、いわゆる専門家という方々の行動とは、かなり違うと思います。災害対応、そして減災行動は、地域によって行動の形態は異なるのが普通です。

 

 今回は、特にお願いしたのは、避難という意味をしっかりと理解して欲しいということです。避難とは読んで字のごとく「難」を「避ける」という意味なのです。今までは、防災訓練は「いっとき集合場所」へ集まってから「避難場所」又は「避難所」へ行くことが避難のことだと思う方が多いのです。

忘れないでください。避難とは今いる場所より安全な場所へ移動することなのです。決して避難所へ行くことを進めていません。避難所へ行って何をするのですか? まして、COVID-19の中を、マスクをしながら消毒液と体温計、3日分の食料と水を持ってですよ・・・自宅にいれば三密からは多少は避けられるのです。避難所に行っても何もありません。今まで以上に開設に時間がかかります。それまでの時間何をしているのでしょうか?考えてみてください。

 

 先日の、九州地方をすっぽりと飲み込むほどの大きな台風が日本へ向かってきました。被害を防ぐために気象庁をはじめ、地方気象台並びに自治体からは、進路にあたる地域に対して早めに皆さんは、高齢者避難準備情報、避難勧告を発令していました。それ以前に来た、台風で九州の人吉市、球磨村などで被害が出たことから、今回は、さらに早くから避難勧告、避難指示が発令されました。その結果、「新しい生活様式」のガイドラインに沿った避難所受け入れを行っていました。TVで見る限り体育館や、公民館が避難所として受け入れを行っていましたが、次々と受け入れ定員に達して、避難してきた住民の方を受け入れることが困難状況になっていました。地域では、他の空きがある避難所へ回ってもらう対策を講じていました。しかし、高齢者の多い地域ですから、あらかじめネットを通じて情報を取ることはできないようで、避難所へ来て初めて満員を知って肩を落とす姿も見られました。これは、三密防止対策から止むを得ないことです。

 

 私は、興味深くTVの中継放送を拝見していました。これが座間市だったらどうなるのだろうか?ということですね。すでに市では一応は避難所の開設の見直しの原案はできていますが、これはあくまでも開設を担当する職員向けのものです。実際にはこのマニュアルの検証評価も行われていません。現実には、新しい生活様式に沿った基準で受け入れに必要な資機材は十分に備蓄されていません。しかし、これに先立ち行われた「検証訓練」では、従来の1/3程度の受け入れ人数になることが見えてきました。

このようなことについても話をさせていただきました。現実はもっと厳しいものになると思います。災害が予報がある「暴風雨など」によるものなのか、それとも予告なく来る「地震など」でも全く状況は異なります。さらに、その発生時刻によっても 変わってきます。深夜のような時間帯であれば、職員の参集状況も明確には見えてきません。

 

 となると、あらかじめ気象情報で予告されるような災害であれば、あらかじめ必要な避難所の開設はできます。受け入れも可能だと思います。(2019年9月実証済み)しかし、地震のような災害であれば、震度にもよりますが、インフラがどのような被害を受けるかによって避難所がどうなるかの保証はできないと言わざるを得ないと思います。

つまり、私たちは従来から言い続けています、避難所に行かなくてもよい災害対応環境を備えるということなのです。国は「分散避難」ということを打ち出しています。公的施設の避難所だけに頼るのではなく、知人宅、親戚や、座間市では無理ですがホテルなどの宿泊施設へ身を寄せる、被害がそれほどなければ、「在宅避難」も選択肢に入れることを求めています。

そのためには、常日頃から何をどのようにしておけばよいのか?ということ…すなわち家族ごとに「災害イメージ」をしっかり立てて備えることが一番だということを話させていただきました。

 

 また同じことを書いているという方もおられると思いますが、受講者約40名の中で、TVの固定をされている方は手を挙げられた方で3名でした。3・11の地震の時、市内ではかなりの方がTVで怖い思いをされています。食器棚のガラスが割れて困った方もおられました。しかし、依然として、ガラス飛散フィルを貼られていないのが現実です。

最後に、3・11の時の取材中のTVクルーが撮った映像を加工させていただいた、ブラックアウトの映像を見ていただきました。

 

 今夜、座間市へ震度6強の地震が来ると、ブラックアウトは必ず発生します。その時、寝室からリビングやダイニングに一歩踏み出せるでしょうか?と皆さんに問いました。

多くの受講者は、眼を伏せておられました。

 

 備えているということは、備蓄の品物ではないのです。皆さんの住んでいる住環境が安全なのですか?ということなのです。

どうか、知識を行動に移してください。行動がなければ明日は、今日の続きです。しかし、変わるものがあります。発生確率は微妙でしょうが高くなってゆくのです。都心南部直下地震(首都直下地震)は確実に起きます。これを制御する技術は今のところありません。であれば、私たち自身が安全に向かって備える他はないと思うのですが・・・いかがでしょうか?

 

 第2回のセミナーは、体験型減災訓練を予定しています。COVID-19の感染の状況を見ながら皆様にお知らせします。

参加ありがとうございます。