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2018年度健康文化都市大学講座を行いました

     発災後の3:3:3 ワークショップ風景
     発災後の3:3:3 ワークショップ風景

 2018年度 健康文化都市大学 防災講座を今年度も担当させていただきました。今年で何回になるのか・・この講座も本当に長く続いています。

 毎年春、座間市が市民を対象に受講者を募集して運営委員会が毎月テーマを変えながら取り組んでいるようです。

毎年、11月はざま災害ボランティアネットワークによる「防災講座」ということでセットしてくれています。

それにこたえて出来るだけ新しい話材を中心に講座を進めていますが、基本はぶれないようにしています。

 

 それは、座間市の防災対策のキーワードである「生き残らなければ何も始まらない」ということを伝え続け、万一、座間市で大規模な災害が起きたとしても、「まさか私が被災者になるなんて・・・考えてみたことはなかった」とインタビューに答える市民が出ないことを目指しています。

 

 災害国日本といっても良いほどに大規模な災害が続いています。今年も大阪で地震が起きました。さーて大変じゃと大阪府や政府が驚いて対策に動き始めたと思ったら、台風21号による「西日本豪雨水害」が起きて、四国(愛媛県・高知県、香川県)、中国地方の広島県そして災害が少ないと「晴れの国」といっていた岡山県でも大水害が起きて特に、倉敷市真備町、船穂町、総社市、高梁市などでも水害による被害が拡大して対策が取られていました。

 

 そして、一段落した時に、今度は北海道胆振東部(安平、早来、厚真町)で震度7から札幌市でも震度6クラスの揺れを記録する地震が大規模な土砂崩れ、液状化による被害が出てしまいました。この地震災害前に起きてしまった災害などどこかに飛んでしまうような状況です。そのいずれの場所でもTVなどの取材に答える住民の口から出る言葉は「まさか・・・」なのです。

 

 災害の都度、その状況はTVやネット、新聞を通じて報道されます。しかし、多くの国民は災害は「TVの中の出来事」としか捉えなくなったように感じます。「災害をわがこと」として思う気持ちが薄れてしまっているように感じてしまうのです。

かなり高い確率で、近々首都を襲うといわれている「都心南部直下地震」やさらに大規模な「南海トラフ巨大地震」のことが報道されていますが、その被害想定地域の住民の方々は訓練などに動員されていますが・・・「だけど、自分は大丈夫」と思うことでその危機感を和らげようとしてしまっているように思うのです。「見ないふり」ですね。「臭いものには蓋」ということです。

 

 私たちは、いつ、何があっても「怪我」をしない、「死なない」ことを目指して全市をあげて地道な行動訓練を積み重ねてきています。時には「そんなことをしたところで来るものは来るのだから・・・」という方もいることは事実です。しかし、地道な行動訓練しか、私たちが「怪我人を少なくし、死者を少なく」する方法はないと思っています。

その思いを伝えるために、この講座を使わさせていただいています。

 

 災害を想定して、ワークショップを通じて、参加者自身が地震想定の中で、自分が何を、どうするのかということを書き出してもらって、それを、時間軸に沿って並べてもらい災害のイメージトレーニングをしてもらいます。この作業を通じて、さまざまな思いを持っていても、現実には自分がでることが決して多くないことを知ってその中から「重要性」と「緊急性」を感じてその時々の状況に合わせた行動が取れれば成功だと考えています。

出来れば講座や訓練を通じて得た「今日の学び」を自宅に戻って「行動化」していただければと思いますが、私の経験で言えば、行動化される方は1%の人ぐらいだと思っています。でも、それでも「ゼロ」でないことを考えれば上出来だと思うのです。

 

 最近は、このような災害の危機感から、各地で防災フェスタ、子ども防災、女性防災などのセミナーや講演が盛んになってきています。残念ながらその多くは、参加した人が「全員生きていることを前提に」話が進んでゆくのです。私たちはその手法に違和感を感じているのです。先ずは「死なない行動」を取ったのちに、次の行動に移ることを伝えてゆかなければならないと思い続けてきています。

 

 何よりも災害直後の「自助行動」は極端に言えば70%のウエイトを持っていると思うのです。行政は「自助」➡「共助」といいます。しかし、それは地域の実態をわかっていないのです。自治会や町内会への加入率が80%を超えていた時代ならばいざ知らず、すでに多くの自治体では50%を切ってしまっているところが多い中で「共助」などそんなに簡単に出来ないのです。

 

 私たちは「隣助」のつながりを大切に‥つまり「向こう三軒両隣」での助け合いこそが初動の対応の基本だと思っています。山村武彦先生は「近助」という言葉でお話をされています。まさしくその通りなのです。

 

 何よりも、地震をはじめ災害が来る前の平時の生活空間の安全を作り出すことです。

講演で私は必ず「TVを固定している方はどれほどいますか?」と問います。たいてい「5%」程度です。厳密にいえば「ワイヤーで固定」することが本来の安全環境のあるべき姿だと思いますが、1%程度の方です。実は、その方の多くは、以前私たちの講座や訓練に参加してくれて「行動」に移してくださった方がほとんどです。

 

 「共助」が機能を始めるのは、おそらく24時間ぐらいたってからだと思います。私はいつも、参加された方が全員自治会としても、それと同じ人数の未加入者がいることを忘れてはいけませんよということをお話させていただいています。

自治会にされている方は、一応一つの組織体として行動しますので統制が取れています。

しかし、未加入者には情報の伝達が遅れると思います。情報が入らない不安から「烏合の衆」として避難所というところへ行ってみようと行動を取ることは・・・各地の被災地でも見てきました。統制が取れている集団と、未統制の集団がぶつかればそこには混乱が起きることは必須です。

 

 そのようなことを考えなければ被災後を乗り切ることは出来ないのです。ただ、むやみに避難所へ向かわないことです。避難所は「入るための条件」があるのです。このことをしっかり理解してほしいということをお願いしました。何よりも、避難所なんかに頼らない「被災後の生活」を含めて備えてください。

 

 座間市は、2018年度、7回目の「座間市いっせい防災行動訓練(Shakeout訓練)」を2019年1月23日 午前11時を期して行います。ぜひ、皆さんで参加して、「生き残り、生き延びるため」のことを忘れずに行動を出来るようにしてください。

座間市は、居住区域によってリスクの内容が異なります。火災が起きると大変な地域がある一方、液状化による被害が予想されるところもあります。また、川に土砂が入り込めば内水氾濫が起きることが予想される地域もあります。これらのリスクを自分のそして地域のリスクとして共有して対応できるようにしてください。

講座に参加してくださった方々どうか「行動」に移してくださいね。

ご苦労様でした。