小学校教員向け「防災教育を考える」の講座の支援をさせていただきました。

「出す」を考える体験学習中
「出す」を考える体験学習中

座間市立入谷小学校と、ざま災害ボランティアネットワーク(ZSVN)はご縁があって「災害のことを考える授業」(総合的な学習)のお手伝いをさせていただいてまいりました。

 

市内の学校には先生方の授業研究会があります。

今年度の「総合的な学習部会」の部長に入谷小学校のY先生が担当となったことから、部会に所属している教員の方に対して「防災教育について」というテーマで120分間の講座をしてほしいというお話をいただきました。

私たちZSVNにとっても先生方に、「防災教育」のお話をさせていただく機会はそうそうありませんのでお受けしました。120分の時間をいただけるので、単に私たちのメンバーが前に出て話をするのでは「能がない」ということで、Y先生と相談の上に「体験学習」を入れたプログラムにしました。先生方は、市内11校から36名の方が参加されました。

 

ZSVNは、今までの、減災・災害対応活動の中から次のことを学びました。

災害のテーマは、まず、「生き残らなければ何も始まらない」という災害対応行動訓練(シェイクアウト訓練))の継続的な取り組みです。座間市は市長の強い気持ちのもとで26年度も取り組むことが決まっています。

そして、Ⅰ 家屋の耐震化の取り組み(自助)、Ⅱ 家具の固定とガラス飛散防災(自助)を確実に普及させる。

その上で考えなければならないことは、

①出す(排泄を考える)、

②食う(災害食を考える)、

③飲む(水の確保と運搬を考える)+

④灯り(電気を考える) の4項目が市民が出来る「減災・災害対応活動」の守備範囲だということに至りました。

確かに、その他に大切なことはあります。救出、救助、応急手当・・・・等々・・・・しかし、私たちにできることには限界があります。

 

災害の状況の中では様々なことが考えられます。おそらく運悪く死んしまったり負傷してしまう方もいるかもしれません。でも、大前提を守れば、「生き残る」ことはできると考えます。

その、生き残った人々が、「いのち」を長らえるために、お隣の人とつながり助け合う(隣助)を作り出して、さらに「隣助」と「隣助」がつながって「共助」が生み出されそれが、座間市の復旧・復興に向かう力になると考えるのです。したがって私たちは、①~④の事柄が一番大切であると考えます。

 

防災教育は、この視点をしっかりと持って取り組まないと、単なる「年中行事化」してしまう危険性があります。

私は、批判を受けることを覚悟で、現在も続いている「お・か・し・も式」の訓練形態に警鐘を鳴らさせていただきました。

あの訓練は、何を目的としているのか、「火災避難訓練」なのか「地震災害対応訓練」なのかということなのです。これは、学校のみならず地域のいわゆる「防災訓練」「消防訓練」と称する訓練にその傾向があるのです。

 

消防訓練であれば、消火に集中することが一番です。それは「大声を出して火災を周囲に知らせる」ことが一番大切なことなのです。そのことを強く指導しているのは「消防学校」の教育以外には見かけません。これは大事なことなのです。

 

そのようなことなどを含めて、確実に発生されるといわれている首都直下型地震(M7クラス)」にどのように対応しようとしているのですか…学校として災害のことを本当にイメージ化して取り組みがなされているのかを箇条書きにして指摘させていただきました。

 

そのようなこと話したのちに2班に分かれていただいて、「出す」と「飲む」の体験をしていただきました。

「飲む」がテーマの、水の運搬訓練は、あいにく、梅雨のさなかということで雨模様の外の学習になりましたが、先生方は非常に熱心に取り組まれました。

エコバッグで水を運搬しなさい。「段ボール箱」でミスを運びなさいなどという意地悪な設定に頭を絞って考え取り組まれていました。しかし、水を手で下げて運べるのか…災害時のまちの中の姿のイメージが出来ていないのです。道路はどうなりますか? 両手がふさがっていて安全は確保できますか?

 

運び終わった水を、配給する作業こそが小学生高学年の出来る作業なのです。灯油を入れるポンプがあります。これの水専用のポンプで2リットル、4リットルのペットボトルに移し替えることで小学生でも、高齢世帯、身障者世帯など災害に弱い人々のサポートが可能であるっことを考えていただきました。

 

「出す」の課題に取り組んでいいただいたグループは、トイレが使えない状況でどのように乗り切ったらよいかを考えていただきました。最近は、災害特番で段ボールトイレなどの「知識」が広まっています。先生方も災害トイレ=段ボールトイレという図式が出来ているようでした。しかし、そうなのでしょうか?

耐震化の進んだ住宅はそれほど倒壊するとは考えません。となれば家庭のトイレの便器が壊れて使えなくなることはないと考えてよいと思います。であれば、「出す」の課題解決は家庭用トイレをいかに災害用に使うかということを学習すればよいのです。実習を交えて学んでいただきました。

このように30分交代で両方の課目を定見していただきました。

 

最後に、振り返りでまとめさせていただきました。

両陛下が、5月に都内の小学校の授業参観にお出ましになられた新聞記事を配りました。また、中教審の防災教育の「教科化」の資料も配りしました。

陛下が被災地にお出ましになってお感じになられた「悲しい出来事」を防ぐには「防災教育」の強化が必要であるとお感じになられての今回の視察だったと思います。時間がないということを暗に世の中にうったえていらっしゃるのかもしれません。

先生方には、もっと想像力をきちんと持って取り組む課題であること。リアルに考えることが何よりも大事だということをお伝えして終わりました。

まだまだ先生方にはお伝えしたいことや、お願いしたいことがたくさんありますどうか、学校単位で先生方が一丸となって取り組まなければならない課題です。そのことをお願いして終わりにしました。

私たちは、お声をかけていただければどこででもお手伝いさせていただくつもりです。子供の「いのち」を守れない教育であってはなりません。現下の政治が取り組むべき「最大テーマ」は、減災活動の強化と、災害対応活動」の普及です。後悔しないことこそが「減災活動の普及」です。そして、災害が来てしまった時に「さて、どうしよう」では、東日本大震災と同じような過ちを繰り返すことになるのです。

 

6月11日。東日本大震災から3年4か月です。TVのニュースの量も少なくなってきています。まだ、行方不明の方々が多くいらっしゃるわけですが、震災の記憶はだんだん風化してきています。そのような警鐘の気持ちを込めて講座を進めさせていただきました。

 

ZSVNのメンバーの方も参加し先生方へinstructionをしました。これが、私たちの成長にもつながります。ご苦労様でした。