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かながわ・よこはま防災ギャザリングに参加してきました

     炊出し袋に米を正確に計量します
     炊出し袋に米を正確に計量します

 SL県央・相模原ネットの一員として防災ギャザリングへ参加してきました。今年度の私たちの団体の担当は、災害食の普及活動をテーマとして「非常炊出し袋」による「炊出し作業と災害食による配食」を担当しました。

県央相模原ネットからの参加者とSL活動者が11名が中心となり、そのほかSLのメンバーが支援してくれました。今日の炊出し予定数は500食と本部からの指示を受けての準備をして指定された場所にテントを張りました。「ざま災害ボランティアネットワーク」と鮮やかに描かれた水色にテントのもとに炊き出し用のLPGボンベ2本、炊き出し用のコンロ4台、炊き出し用の寸胴が大小合わせて4つが準備されました。そのほか体験をしてもらうテーブルの上には、必要となるコメ入れの容器、メジャー、水差し、炊き出し用袋などが3ラインが準備されました。

これ等の資機材は、テーブル以外はすべて、ざま災害ボランティアネットワークの災害対応のための資機材です。災害救援ボランティア団体は、その名乗りの責任を果たすためにも自前の装備品がなければ自立した活動はできないという判断から約10年かけて備えたものです。

9時30分ごろから、イベントに参加する来場者が来ました。受付を済ませて最初の体験が「災害食の炊出し体験」なのです。

 

 来場者の方々には先ず次のことをレクチャーしました。

体験用の列に並ぶ前に、「なぜ?」「このような手法」「炊き出し作業」を行う必要があるのか(理由)ということの説明をしました。

  災害時には水の供給が止まる。電気、ガスも止まり、物流も止まることをイメージしていただきます。

その中で私たちは、何を食べて「いのち」を繋いでゆくのか。

備蓄用食料である「アルファー米」はあくまでも緊急的な食糧であり、数に限界があること、味には個人差があり食べることができない人もいること等について話しました。

過去の被災地での活動から知りえたことの一つに「普段食べている物が一番、のどの通りが良いこと」を知ってさらに、解決する手段の一つとして、非常用炊出し袋が有効な手段の一つであることを話しました。

 

 災害時は「ゴミ」を最小限に抑える必要性があること、貴重な水を用いて、少ない水で一定の安全水準を守りながら「災害食」給食ができること。この炊き出し作業を地域の方々が集まって行うことで恐怖心が無くなること。それによって打ちひしがれた心に元気が出てくること等について話しました。

 

 そして最後に、災害時、食べ物を扱う時に必ず守るべきこととして、作業の前の手指の消毒の必要性と、特に高齢者方の「入れ歯と災害食」のことからは、平時の入れ歯の保管場所は洗面所ではなくベッドサイドに置くことを話しました。入れ歯が無くなってもすぐに作ることができないこと。入れ歯がないとこから、食事が非常に不自由になり、空腹が我慢できなくなって食事をすると、歯茎に傷がつき出血等が起こりこれが原因で嚥下障害などを誘引し結果、肺炎を起こし、「災害関連死」という事態に陥ってしまうことがあることを話し、災害食と口腔ケアの関係にも触れて終わりにしました。その後、体験コーナーへ移ってもらいました。

 

 往々にして、目的を明確にしないままに、ただむやみに体験を進めるケースをみます。

今回も、説明をするので集まってくださいと声掛けをすると「いいのです。私たちはいつもこの訓練をやっていますから」といって体験コーナーへ行こうとする方がいました。

私は、話を聞いてからにしてくださいと言って無理やり話をしました。

終わって、その方々に「どうでしたか? あなた方はこのような方法でやられてきましたか?」と質問すると、「やっていませんでした。ただ、コメを入れて水を入れて・・」という訓練でした。これからは、訓練前にこのような方法で取り組みたいと思います」という答えを聞いて役に立てたと思いました。

まだまだ、多くの訓練が行われていますが、それが「いつ、どのような状況で使われるものなのか?」そしてその結果は「どのような効果がでるのか?」という説明がないままに行われている例が多いと思います。そのような訓練が少なくなり解消に繋がればよいなと思いました。

会場では、県内で活動する団体がそれぞれの得意分野の活動の普及に取り組み、来場者の方々へ減災活動の必要性、災害対応のノウハウを伝えていました。

主催者発表ですが来場者は550名を数えています。私たちの担当した「災害食体験」のブースで非常用炊き出し袋の作業を体験された方は360食を数えました。

協力者の方々、支援者の方々そしてこのギャザリングをここまで運営できる取り組みをされた「防災ギャザリング実行委員会」の方々へお礼を申し上げます。

 

******これ以降は興味のある方のみお読みいただければと存じます。*****

 ここで、私自身の記憶が薄れないうちに防災ギャザリングの生い立ちについて私たちが参加した時代からの記憶をたどり記録にしたいと思います。誤りのある部分もあると思いますがお気づきの点がありましたらご遠慮なくご指摘ください。

 

 防災ギャザリングが、横浜で行われるようになったきっかけは、1995年阪神淡路地震のボランティア活動経験者が、神奈川県に戻ってきてこの体験を、この地に発生が予想されている「都市型災害」に備えて、県内で活動しているボランティア団体同士が顔が見える関係を作ろうということで企画されたイベントが、「防災ギャザリング」なのです。

ギャザリング

ギャザリングとは(gathering)= 集合・集まるという意味を言うようです。

 わたしたちの団体は、そのころのことは全く知らないでおりました。

先輩方々からのお話では、当時の防災ギャザリングは、神奈川県も熱心で県民サポートセンターが中心となって、被災地で活動した経験者や学生たちを集めて全館を会場にして行われていたようです。しかし、ご多分に漏れず被災地が復旧し、復興が進むにつれて参加していた特に、活動の中心となった学生たちも社会人になってこのような活動に割ける時間も少なくなるままに徐々に縮小の傾向にありました。私たちが神奈川災害ボランティアで活動していたころは目的もはっきりしないままに前年申し送りの状態でイベントをこなして行く感じで行われていました。

 

  そのような中で現在は活動を退いて、地元での活動に移しています災害救援ボランティア推進委員会の講座の修了者であったセーフテーリーダー(SL)のMさんがもう一度、防災ギャザリングを再建しようということで協力の要請を受けて「セーフティーリーダー(SL)」の一員として私の周囲のメンバーも協力することになりました。

 

 その当時、たまたま、ざま災害ボランティアネットワークが防災活動普及のためのプログラムとして取り組んでいました「体験型防災体験訓練」に興味を持たれた、横浜市のある消防署長が、自分の消防署で同じようなイベントをやろうというお話をいただき有志の関係団体が集まって実施しまずまずの成功を収めました。

その署長の異動がきっかけになり、現在の横浜市民防災センターと沢渡公園を使って県下の防災活動をしているボランティア団体が集結して実施できないかという話をいただき防災ギャザリングがまた復活をし始めました。県民サポートセンターの2階のホールを使った講演会などを含めて、阪神淡路震災の起きた1月中旬の活動として行ってきました。

 

 そのような中で、2011年3月に東日本大震災が発生し、神奈川県は岩手県を中心に支援活動を行おうということになりました。その活動機関として、県民サポートセンターの中に神奈川県、神奈川県社会福祉協議会、神奈川災害ボランティアネットワーク(KSVN)、共同募金会の4団体からなる「かながわボランティアステーション」が設立され、ボランティアスタッフが中心となって「被災地支援ボランティアバス運行事業」を始めました。

その後、神奈川県が岩手県遠野市にボランティア活動者向けの現地活動拠点として無料宿泊所「金太郎ハウス」作ったことから多くのボランティア活動者を3年間にわたって送り出し被災地の支援活動を行うことができました。その運営は、ほとんどすべてを様々な県内外のボランティア・スタッフのかたがたの力で行いました。

このような活動の「種」は防災ギャザリングという活動があってのことだと思います。

神奈川県で活動していた「セーフティーリーダー(SL)」も積極的に活動に参加して、この活動から被災地から離れることができなくなって移住をしたり、時の県職員として現在もなお被災地で復興の仕事に携わっているようです。

 

 しかし、東日本大震災から5年を経過したころから、被災地が徐々に復興地に変わると共に「災害の記憶の風化傾向」が見られるようになり、防災ギャザリングに参加する団体も少なくなり始めて来ました。

これは、どうにもならないことだと思います。今まで中心となって旗を振り続けてきた活動者の方々も加齢ともに引退したり家庭の事情で活動を離れていきました。また、あれほど熱心に支援に取り組んでくださった行政の方々も、人事異動のう中で当時の強烈な体験のない職員の方々に変わることによって活動も単なる通過儀礼的な色彩が強くなり始めています。5年目の活動から1月の活動時期を3月11日を忘れないために3月に移しましたが、一般の参加者が参加しやすい暖かな時期の活動に移そうということになり5月の活動になっています。

 

 この先、この活動は誰が引き継いで続けてゆくのかという分岐点に立たされています。

近い将来というよりも、もっと危機が差し迫る中での発災が想定されている「首都直下地震」は従来想定されていた、「東京湾北部」よりも神奈川県に近い「首都直下域」での発災へ見直されて県の地域防災計画も見直され、東京都との境の川崎市でも震度7の揺れが想定されています。

その災害から、「いのち」を守るための活動として私たちが県知事に具申をして実現した「かながわシェイクアウト訓練」も何とか取り組まれていますが、今一つ纏まり感というか緊張感が感じられない「イベント化」しているような気がしてなりません。

また、ビッグレスキューと銘打った秋の県市総合防災訓練も、私の個人的な感想から見ると県民の方々に「誤解」を与えかねないシナリオによる訓練になっているように感じてなりません。

 

 そのようなことを含めてもう少し市民目線の発災以前の地域での減災活動、発災と同時に「いのち」を命を守る行動訓練、各行政機関の日々の公務員としての「本務」としての住民の「いのち」、財産を守る訓練、さらには、発災から24時間にわたる地域住民の災害対応力向上のための訓練に重点的に予算をつけるなどの政策が必要ではないかと考えます。

さらに、災害救援ボランティア活動団体に対して具体的活動の実績評価に基づく補助金の支給などにも取りくんでくださることを願うのです。

来年度、神奈川災害ボランティアネットワークに活動の指揮者としてお願いしています。県の災害救援ボランティア団体としての要として役割を果たされることをお願いします。